ニセコ グラン・ヒラフ

エコル日記

エキノコックス駆除! by kiyoshi

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こんばんは!エコルkiyoshiです。
昨日、エキノコックス駆除のための作業をしました。その模様をお伝えします!
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エキノコックスは、主にキツネの腸内につく寄生虫です。キツネの腸内にいる間は、エキノコックスはキツネにとって、ほぼ無害です。
エキノコックスがキツネの腸内で卵を産むと、卵は糞に混ざって出てきます。その卵がネズミの口に入ると、ネズミの内臓(おもに肝臓)で爆発的に数を増やします。そうなると、ネズミは重い病気にかかったことになります。膨張した肝臓でお腹がパンパンに膨らんで、歩くのもままならない状態になります。そしてそのネズミがキツネに食べられることによって、エキノコックスは、再びキツネの腸内にたどりつくことができる、というわけです。巧妙ですなぁ。
じゃあエキノコックスから見て、人間はどうなのかといいますと、キツネではなくネズミに近く見えるようです。エキノコックスの卵が人間の口に入ると、エキノコックスの幼虫が人間の肝臓で増殖します。人間にとっても、エキノコックスにとっても、困った状況です。
そしてもうひとつ、キツネの習性で重要なポイントがあります。キツネは縄張りを強く持つ、ということです。これまでのエキノコックス駆除の方法は、キツネを捕らえるなり殺すなりすることが多かったのですが、効果は上がりませんでした。キツネをやっつけたところで、その空いた縄張りにほかのキツネがやってくるだけで、むしろキツネを殺すことによってエキノコックスの感染域が拡がってしまったようです。
前振りが長くなりましたが、そこで、今回の駆除の方法です!酪農学園大学の神谷教授が考案した方法なのですが、キツネに虫下しを与える!という方法です。え?なんだそんなことか、と思っちゃってはいけません。エキノコックスと、キツネの習性を利用した、まことに理にかなった方法なのです。
今回撒いてまわったエサ(ベイトといいます)には、プラジカンテルという虫下し薬が入っています。
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その薬はハマチの養殖に使用されているほど、食べる本人には害のないものです。これを食べたキツネさんは、もし腸内にエキノコックスがいたらそれが排出され、クリーンな状態になります。そのキレイなキツネさんに、その縄張りにいてもらって、この地域をクリーンに保とう、という作戦です。
ただ、一度きれいになっても、またエキノコックス入りのネズミを食べたら感染してしまうので、毎月ベイトを撒く必要があります。そして、ネズミというのは寿命が短く、ライフサイクルが早いので、ベイトを撒き続けていれば、間接的にネズミたちもクリーンな状態になっていきます。すごい!たいしたもんだ!
そんなわけで、倶知安町をはじめ倶知安町風土館、NPO法人WAOほかこのプロジェクトを推進して下さっている方々のご協力で、このグラン・ヒラフエリアもベイトを撒き始めることができました。ありがとうございます!
で、作業自体はご覧のとおり、ベイトをポイッ、ポイッと撒いて歩いただけです。いやー、素晴らしいな。これでこの地域のエキノコックスが駆除できるなんて。
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鏡沼、きれいでした。エキノコックスからもキレイにしちゃいましょう!