ニセコ グラン・ヒラフ

エコル日記

エコルの人気者 by kiyoshi

| カテゴリ: 樹木の話, 虫の話

こんばんは!エコル担当kiyoshiです。
紅葉がいい感じになってきました。
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上から順に見ていくと、上の方の緑はハイマツ。その下の赤いのがナナカマド。ササの緑が風になびき、黄色く色付き始めたダケカンバへと続きます。ダケカンバの林の中にはツタウルシやナナカマドの赤が混じります。この標高でひときわ鮮やかな黄色に染まるのは、ミネカエデです。
エコルの営業もいよいよ明日で最後です!そして明日の予報は雨!はうう!
今日見られた紅葉と、今日久しぶりに姿を現した人気者を…


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2種類のツル植物がダケカンバに絡み付いてます。赤いのがツタウルシ。緑色がツルアジサイ。こうやって色分けされていると区別がつきますが、夏の、緑色の状態では渾然一体となってしまいます。
どちらも気根を出して這い上がるツル植物ですので、あまり這い上がる木に悪さはしません。それに対して、巻きひげを出したり、らせん状に這い上がって、気を締め付けてしまうツル植物もあります。その代表格がヤマブドウとコクワです。どちらも美味しい実をつけるのですが、木を育てる上では厄介ものです。どちらもエコル周辺には生えていません。もう少し標高の低いところの植物です。
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コケの原っぱに生えてました。小さい木です。鮮やかな黄色のミネカエデです。葉っぱの形が典型的な形ではありませんが、樹木が小さいうちは、葉っぱの形は変異がよくあります。そのほか、日陰に生えている木や、ひこばえなども、ミョーな形の葉っぱをつけることがあります。
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出ました!エコル一の人気者(?)、カタツムリにつく寄生虫、リュウコクロリディウムです。本によってはレウコ…と書いてあることもあります。今日は機嫌がよかったのか、久しぶりにカタツムリの目に入ってました。普段は体の中に引っ込んでいることが多いです。
カタツムリの中にいる間は、まだ幼虫です。大人になる為には鳥さんのお腹に入り込む必要があります。そこでリュウコクロリディウムは、あまり葉っぱの表には出たがらないカタツムリの行動をコントロールして目立つところに出てこさせます。そしてカタツムリの目玉をこんなに目立たせて、鳥さんに「食べてくれー」とアピールします。そしてめでたく鳥さんに食べられたら、今度は鳥さんの腸に取り付いて成虫になります。成虫になったら、腸で卵を産みます。すると卵が鳥さんの糞に混じっていろんなところに運ばれます。葉っぱの上に糞と一緒に落ちた卵を、通りかかった何も知らないカタツムリが食べると、また、カタツムリの体の中で幼虫になる…。なんと巧妙な手口でしょう。
そしてカタツムリの目玉、というところがまたポイントです。カタツムリは再生能力が高いので、目玉をつつかれてもすぐに再生できます。リュウコちゃんのすごいところは、幼虫の段階でカタツムリの体内で分裂できる、というところです。じつは、このリュウコクロリディウム、捕まえたときはカタツムリの中には1匹だけだったのですが、飼い始めて4ヶ月、今は3匹に増えてます。目玉をつつかれる→再生する→目玉に入る→つつかれる→…を同じカタツムリの中で繰り返すことができるのです。効率がいいですね。
目玉に入って鳥さんにアピールするときも、カタツムリを目立たせるのではなくて、実は目玉の中でダンスをしてイモムシの振りをしています。ですから、カタツムリを食べる鳥さんではなく、イモムシを食べる鳥さんを呼んで、目玉だけをつつかせています。宿り主のカタツムリは生かさず殺さず。鳥さんもおそらく寄生されていることに気づいていない…完全犯罪です。寄生という生き方は、かなり高度な、洗練された生き方です。宿り主にはなるべく迷惑をかけず、ひっそり暮らす…。あれ?目玉つつかれたり、行動を支配されちゃったりしているカタツムリにはいい迷惑ですね。
今日姿を現していたのは、さすがに鳥さんにつついて欲しくなったのでしょうか。このまま来年までわたくしが飼育してみるつもりですが、このまま行くとどうなっちゃうんでしょう?えらい気持ちの悪いことになりそうな気もします…