NISEKO Mt RESORT Grand HIRAFU

2011年12月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

Recent blog article

| TOP |

第38回 ひらふを彩るストーリー1
帰る場所は、やっぱりひらふ。
おやつとサンドイッチのお店「グラウビュンデン」オーナー
渡辺淳子さん

 

 

 

ひらふの人気店「グラウビュンデン」を経営する渡辺淳子さんは、1961年にひらふにリフトを開業した(株)ニセコ高原観光の初代事務所長、大川仁吉さんの次女。ひらふ育ちの淳子さんにお話しをうかがいました。

 

 

junko_watanabe.jpg

 ワタシは三人兄弟の一番下。一家5人が神奈川からひらふに移り住んだのは、父がニセコ高原観光の現地責任者になってリフトを立ち上げた、1961年の秋でした。そのときワタシはたったの1歳。ですから自分のふるさとはひらふなんです。

 

 物心つく前から、冬の遊びはもちろんスキーでした。中学生のころ、大手航空会社のスキーツアーがはじまりました。毎年テレビや雑誌の広告が華やかでした。中3のとき、スキーヤーのひとりとして広告のモデルになったんです。その後、リフト会社の所長の娘ということもあり、滑りのシーンならいい娘がいるよ、という感じで、重宝に使われるようになりました。そうして広告制作の現場にふれるうちに、映されるよりも映す方、作り手側に興味がわいてきました。みんなセンスが良くて遊び心をもった、カッコイイおじさまの世界(笑)。自分もこういう世界で働きたい!ファッションが大好きだったので、スタイリストになりたい、って考えるようになりました。

 

 高校を卒業すると、東京へ。ひらふの仕事に来ていたスタイリストさんの事務所でバイトをしながら、スタイリストをめざして専門学校に通いました。両親も、お前がやりたいのならがんばってみろ、と言ってくれて。卒業後は、数え切れないほど電話をかけまくって(笑)、なんとか就職。4、5年経験をつんでから独り立ちしたんです。

 

 そのころは、アンアンやノンノといった雑誌が大人気。やがて、新しくて刺激的な仕事にも出会えるようになりました。そしてやって来たのが、スヌーピーをキャラクターに使ったスキーツアーの仕事。10代のワタシがスキーヤーとして関わった広告に、今度は裏方のスタイリストとして参加したのです。う〜ん、感慨深かった。セールスポイントは、なんたって「滑れるスタイリスト」!(笑)

 

 日本の経済にとても元気があった80年代。スキーのほかにもいろんな分野の仕事がありました。いまならデジタル技術で合成できるようなシーンでも当時はできませんから、年に6、7回は海外ロケへ。カー・ラリーのマネージメント会社にいた、今の主人と出会ったのも仕事の現場です。優秀な写真家やアートディレクターたちと大手企業の広告を作っていく世界は、10代のころのあこがれでしたし、充実した毎日でした。いろんな国のいろんなすばらしい土地にも行けたし。

 

 でもどこに行っても、いつも心のどこかにはひらふがあったんです。一見華やかな世界にいても、結婚して子供を産んで、ワタシはいつかひらふに帰るんだろうな、と思っていました。理屈じゃなく、なんて言えばいいのかな・・・。

 

 24歳で結婚して、主人にも「いつか北海道に帰りたいんだ!」って宣言していました。でも先に北海道に移ったのは彼の方なんです。ホテル日航アンヌプリ(現ニセコノーザンリゾート・アンヌプリ)の開業(1985年)のスタッフ募集に応募したんです。

 

 ワタシも東京を引き揚げる用意をしながら、離れた暮らしがしばらく続いたのですが、1990年の暮れに泉郷にグラウビュンデンをオープンさせました。当時のひらふは、新しい感覚のペンションが建ちはじめていましたが、地域に開かれた、誰でも気軽に立ち寄れるおしゃれな場所がほとんどなかったんです。だからスキーヤーがゆったりおしゃべりが出来る居心地の良い場所をワタシが作ろう、と。ネーミングは、サンモリッツ(スイス)のある州の名前から。倶知安町はサンモリッツと姉妹都市の間柄にありますが、1964年にその提携が結ばれたとき、父も向こうに行ってひと役買っているんです。ドイツ語ができたので、お役に立ったそうです。父が大好きだった娘として、ぜひつけたかった名前でした。

 

 オープンしても東京でのコマーシャルの仕事があると、出かけていました。ほんとうの意味で腰を落ち着けたのは、1994年の2月から。スイーツのメニューや扱うグッズも、それから少しずつ充実させていきました。

 

 いまでは国内はもちろん世界のあちこちから、いろんなスキーヤーやボーダーが、「やぁ元気?! 」って来てくれます。ふたりの子どもものびのび暮らしています。特に長男の大介は、スノーボード・クロスで、世界を舞台に戦っているんです。

 

 いまのひらふと私たちを、父に見せたいなー。そんなことをときどき思います。

 

 

●グラウビュンデン
倶知安町山田132-26
tel : 0136-23-3771

http://graubunden.jp/wp/